中村うさぎさんの著書は、怖いもの見たさで時々読んでしまう1冊。
いつも「突拍子もないことするなぁ」と思うだけだったのですが、この文庫の解説で新たな境地に。
この解説を書いたのは、切通 理作 (きりどおし りさく)さん。「おぼっちゃまくん」のシナリオなどを書いていたライターさんだそうです。
中村さんの行動が、どうしてなのかまとめた一文
整形もまた、コスプレなのだ。コスプレとは、二つ以上の自分を生きること。そして、二つ以上の自分に気づくこと。(解説の中の文より)
この「芸のためなら~」と、「私という病」を読んだ切通さんは、解説の中で、中村うさぎさんの行動がどうして起こっているのかということを分析されています。
この解説を読んで、やっと中村うさぎさんという人が、どうしてこういう自分をネタにした本ばかり出すのか、どうして自分と向き合い続けたり、自分をえぐったりばかりするのかわかった気がしました。
自分の中にあるたくさんの面。たくさんの気持ち。
それはあって当たり前なんだろうけど、それを当たり前と思わず、「どうしてなのか?」と追求し続けていくと、こう(うさぎさんのような行動に)なる。
いろんな気持ちや、状況にあわせた自分の中の変化ってあっていいのだろうけど、それを「どうしてなんだろう。どうしてだったんだろう」と思うと、自分の中にA,B,C,Dという部分があることに気づく。
それをひとつひとつ追求しながら生きていくと、”コスプレ”をナチュラルにずっとやっているような状態になる。いくつもの自分を生きているような感覚になる。
ただ、それは特別なことじゃなく、たぶん誰しも無意識にやっていること。
だけど、周りがそういう人に出会ったとき、そう認識してあげることで、うさぎさんのような生き方・・・ある意味、自傷行為なのかもしれないこういった行動をしている人が生きやすいようになるのかもしれないなぁと思いました。この解説は、だからすごくいいフォローをしている内容なんだと思いました。
イイ人だなぁ。切通さん。なんだかすごく好きになりました。
賛否両論の中村うさぎさんですが、はまる方はめっちゃはまると思います。ぜひ一読を。
(特に「私という病」を読むと、うさぎさんの本質がわかりやすい気がします。この著書の中にも非常に多く引用されていて、中村さんの根本に近い本なのだなぁと感じました。私も立ち読みしただけだったので、もう一度買って読み直そうかと思います。)