6月20日に、五反田のコワーキングスペース「CONTENTZ」(コンテンツ)さんのオープニングイベント第1弾として開催された「『食える』ライター登竜門」へ参加してきました。
ブックライターの上阪徹さんと、宮脇淳さんのトークイベントでした。
“ライターという仕事”についてがテーマだったのですが、おふたりの経験談から出てくるお話ばかりでとても具体的で、勉強になることばかり。すごく刺激的な時間でした。私個人としては、これからの仕事への向き合い方が、今日を境にグッと変わる気がします。
このイベントは撮影、SNS、ブログへの投稿OKということでしたので、少し内容をまとめてみたいと思います。
食べられているライター(上阪さん)は文章を書くのが好きで得意なのか?
トークイベントは質問がいくつか出てきて、それをテーマとして話を進めていくというスタイルでした。
まず最初はライターさんは、やっぱり文章が好きで得意で、文章を書くスキルがずば抜けているのか?というところからトークイベントが始まりました。
プログラマーなどに置き換えてみると、「誰よりも早く独創的?なプログラムが書けるのかどうか」みたいなことでしょうか。スキルの優劣で食べられる・食べられないが決まるのかどうか、文章が好きだからライターになったのかという意図の質問でした。
この質問について、上阪さんは「特に好きではない。広告には興味があったが、書くのも読むのも好きではない。得意だとも思っていない」という回答をされました。「書くことが好きだからライターになった」わけではないのですね。
上阪さんは働いていた会社がなくなってしまい、食べていくためにライターになったという経緯を話してくださいました。目の前のことをやっていくことで信用につながり、紹介で仕事が入ってくるとのこと。
「スケジュールが空いていれば基本的に仕事は受け、内容では決めない。仕事の大きさややりがいなども関係ない。すべてはスケジュールが空いているかどうか」で仕事を受ける・受けないを決めているとのこと。目の前の誰かのために一生懸命打ち込むことが仕事である、という話はとても心に残りました。
続けて「好きなことを書きたいなら作家になればいい。ライターは求められた時にそれに答えられるクオリティの文章を返すこと」が仕事だとおっしゃいました。
上阪さんは一貫して「ライターは求められているものを理解して、それに文章で答えることが仕事。創作活動ではなく、ビジネスマンなのだ」と言われていて、これがほんとに私は目から鱗が落ちたというか、漠然と意識の中にはそういうことがありましたが、ハッキリ言っていいんだ!と何だかとても強く感動しました。
上阪さんが思う、ライターという仕事について
上阪さんが気を付けていること、ライターとして心掛けていること、実践していることが話の端々にありましたので、まとめてみました。
●ライターの文章はパズル
→文字数は依頼の時点で決まっている。ということは、書く要素はもうすでに決まっている。その要素をどの順番で出し、組み合わせるかを考える。
●書かなければいけない要素を見つけてリストアップしていく
→取材し、それをどういう風に組み合わせていくかをアレコレと動かしながら考える。(宮脇さんは文章の最初と最後から考えて、真ん中を埋めるとおっしゃってました。)
●創作活動ではなく求められて書いているのだから、ライターはビジネスマンだ
→依頼者が求めていることをそちら側の発想で理解し、締切通りにきちんとした原稿を出すこと。
●売上高などは同業のライターと比べず、ゲームコンテンツ会社など全然別のジャンルと比べる
→もっとやらなくてはいけない、もっとやるべきことは?と売上について前向きに考えていく。
●仕事は自分のためではなく、誰かのためにやる
→個性ではなくオーダーに答える力がいる。相手の立場から物を見る想像力も。
ライターという仕事には営業が必要か?どこから仕事が発生するのか?
おふたりとも同じご意見で、とりあえず、特段営業やアピールはしないとスタンスが一致していました。
「営業活動を特に意識するのではなく、目の前の仕事をきちんとこなしながら、『ライターやってます』と言う。仕事はどこから紹介で入るかわからないから、自分をライターとして認識してもらって、ちゃんと仕事をしそうだと思ってもらおう」とのこと。
仕事を増やすためにやっておくとよいこと
●締め切りを守る
●大きな会社に行く時はネクタイをするなど身なりを整える
●プロフィール、今までの仕事をきちんと書く
●年賀状などを出して自分を思い出してもらう
●得意分野はあったほうがよい。ひとつあると仕事を頼みやすい。
●ただ、得意分野などは自分でいうのではなく、周りに言われることが割と大事
●専門性があっても、専門誌はベテランライターがいるから、金融の専門性を持って女性誌にいくなど柔軟に考える
ライターはビジネスマンに近いのだから、そういうスタンスでやっていけば大丈夫!と上阪さんが繰り返されていましたが、理由があるのだろうと思います。
「ライターなんだからそういうカタイのはなしでお願いします」というタイプの人も実際数多いのかもしれないな・・・と思います。やはりフリーになるとそういったところでつい甘えてしまうことがあります。注意する上司がいなくなりますし…。
でもそれは自分で自分の首を絞めてしまってライターの立場を弱くしてしまう、ということだと上阪さんのお話しから感じたので、私もほんとに気を付けようと思いました。
頼まれたことを、依頼してくれた人のために一生懸命こなしていこう!!
ライターを探している人は、今も十分多いとのこと。
ブックライターもウェブライターも、まだまだ需要はあり、誰かいないかな?と探している人はいるそうです。
ほんとに刺激的で前向きになれる話をたくさん聞かせていただきました。
五反田のコワーキングスペース contentzさんでは、今後もイベントが開催されるとのことですし、ライターや編集者が中心に集まりそうなコワーキングなので、これからも楽しく学べる場となりそうです!
楽しく勉強になる時間でした。
開催してくださった宮脇さん、たくさんの貴重な話をしてくださった上阪さん、ありがとうございました!
▼五反田のコワーキング contentzさんのウェブサイト
http://contentz.jp/
▼上阪徹さんが出されている本
上阪徹さんの著書@Amazon